Tomoko's travel

トラベルライター/ジャーナリストの松田朝子が綴る旅の日々。旅すると更新します。

日本の中のアメリカと、アメリカの中の日本と

おとといのことになるが、JTWO・アメリカ部会の会合に、

二重橋にある会員制クラブ、センチュリーコートまで行って来た。

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ここは、重要文化財にも指定された、明治生命館のなかにあり、

戦後GHQに接収されたこの建物の中には、

さまざまな遺構がそのままのところも。

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         PXの跡。コーラ5セントって・・・

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  重厚な入り口付近。この大理石柱も床タイルも、傷つけたら復元不可能なのだそう。

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        おしゃれな大人のための空間。

そんな、日本であって日本でないような会場で伺ったのは、

ロスアンゼルス観光局代表、安達正浩さんをお招きしての、

「ロサンゼルス」の今について。

ロサンゼルスを、「ロス」と呼ぶのは日本人だけだそうで、

正しくはL.A.(エル・エー)である。

そして、「ロス」だと喪失を意味するLOSSと同音なので、

ロサンゼルスを「ロス」と呼ばないよう、まずメディアが率先して直さなくてはいけない。

そんなL.A.で、今一番アツいエリアはダウンタウンだそう。

かつては、ビジネス街のど真ん中で見所が少なかったこのエリアは、

L.A.ライブ という再開発プロジェクトによって、

メガ・エンターティンメント・コンプレックスができつつあるのだそうだ。

たとえば、グラミー賞50周年を記念して建てられた、「グラミー博物館」では、

歴代の受賞者たちの衣装・楽器の展示から、

マイケル・ジャクソンが急死したときは、おりしもマイケルの衣装等、展示の真っ最中だったとか)

子供向け音楽教室、音楽教育プログラムなどがあって、若き音楽家たちも、

グラミー賞」も夢じゃない! なんてアメリカン・ドリームを持てちゃったりする。

その他映画館やらボウリング場、有名レストラン、

JWマリオット、ザ・リッツ・カールトンなどの高級ホテルも入り、

L.A.のど真ん中で、ありそうでなかった大型コンベンションにも対応。

MICEとしての期待もアップで、これまでにないロサンゼルスが、

来年までにこのダウンタウンに出揃うのだそう。

でも、そんなダウンタウンで忘れてならないのが、日系人たちの功績。

今日も話題に上った、全米日系人博物館は、

過去の戦争で、アメリカ兵として戦っただけでなく、差別とも戦った日系人たちの

当時の写真4万点、物品コレクションなど2万点が展示されており、

運営は会費制で、4万2千人の会員からなり、ボランティア800人が働いているのだそう。

私もここを訪れたことがあるのだけど、

ちょうど、アラン・パーカー監督の映画、「愛と哀しみの旅路」(90年・デニス・クエイド主演)

をレンタルビデオで見た後だったので、まるで映画のストーリーと同じように、

初めてアメリカに渡った日本人たちの、つましくもささやかな幸せな暮らしが、

戦争によって様変わりしていくさまがよみがえり、日本人としては胸の詰まる思だった。

異国での彼らの努力が、今のダウンタウンの発展の一部なんだと思うと、

日本人としては、新生ダウンタウンに行かなくっちゃあ!だ。

こんな風に、太平洋戦争を両国からみつめても、

戦争には、勝ち組も負け組もないんだなあ、と実感。

戦争なんてもうしないさーーーーなんて、

今の人たち思っているかもしれないが、

すぐムカついたり、キレたりするとフルボッコしちゃう、

人々の「心の沸騰点」がだんだん低くなっているようで、ちと気がかりだ。